2013年7月10日 (水)

19回目<山本農園便り>その④

■H25年7月2日

19回目<山本農園便り>その④
     -やってみないとわからない!ー


 
なんとなく「農」というものがわかったような気が・・?最初に水菜とチンゲンサイを虫に食い尽くされてから、今年で4年。ただ頭で理解すればうまく行くものではないのよね。とにかく「加減」が難しい。まだ私もよちよち歩きレベルです。とても70歳のおばさんの経験には勝てません。この間どんな失敗をしながら何をしてきたか?今回はいわば実践講座であります。

<肥料の話>

 野菜作りを始めた頃に必ずやる失敗は「肥料のやりすぎ」です。水分は塩分濃度の低いところから高いところに移動するので、肥料をやりすぎると土中の塩分濃度が高くなりすぎ、根から水分が逆流して枯れてしまいます。特に夏場は水分の蒸発が早いので、濃度が高くなりがち。注意が必要です。
 最初竹肥料に過度の期待を抱いて始めたのですが、「万能の肥料は無い」というのが4年間で得た教訓です。「**酵素」とか大げさなコマーシャルもみかけますが、疑ってください。そもそも栄養のある野菜はぶくぶく太ってません。
 
竹肥料については、①炭素分の補給により食味を甘くする②大地に網羅された根により土中の養分を吸収しているのでミネラル補給になる③植物由来なので安心という理由で使い続けています。
 
<植物工場実験温室>
  知り合いの家で温室型の植物工場を作ろうという話があって、そのための実験温室を作りました。(この話は結局挫折した。)*写真参照090708_0012   使われていない小屋の屋根をポリカーボネート板とし、テーブルの上のプラントボックスで栽培しました。夜間や冬の日照不足を補うため、人工光源を設置した。(写真下)栽培を始めた直後にハモグリバエの襲撃を受けた。体長2mmぐらいのハエですが、防虫網をかいくぐって(大部分はそこで死んでたが)侵入してきた。そこで防虫網を二重にし、とにかく隙間をふさぎまくったところ、来なくなりました。それ以降、ここでは虫の事はあまり気にしなくてよかったので、ストレスが無く栽培できました。(とにかく虫には懲りてたので・・)

101104_0004 とにかくいろんな野菜を作ってみました。葉物からニンジン、カブやマメ、イチゴ等々。人工光は日長16時間の設定としました。最初は発芽させるところからうまく行かなかったのですが、(これは上記の肥料のやりすぎが原因。)ホウレンソウがトウ立ち(葉物の花が咲いてしまうこと)してしまって、どうしてもできない。で、調べた結果、ホウレンソウは春の到来を日長の変化で知るそうです。人工光によって昼間を長くしてたので春だと思ったわけですね。
 もっと初歩的な失敗ですが当初、肥料としては畑で使うのと同じ固形の化成肥料を使ってました。わかりますか?露地の畑でおばさんが「このごろ雨降らへんから肥料が効いてくれへんわー」とつぶやいてたのを聞いて、「あ!そーか、温室で固形の肥料使っても意味ないのかー」と気付いた次第。前も書きましたが肥料は水溶液の形でしか植物は取り込めません。あわてて液肥に切り替えました。トホホー
 この中で「マイクロトマト」栽培がスタートしました。従兄弟が面白そうだというのでインターネットでとりよせたところ、アンデス産の種が空輸されて来ました。これは温室ですくすく育って天井まで届いてブッシュ状になってしまった。(ぜいたくなのですが)冬場にエアコンを入れておくと冬も越せました。この子孫の4代目を今ビニールハウスで栽培しています。

<おばさんの畑-露地栽培->
温室栽培をしながら、基本的に同じものを露地でも栽培して比較するということを平行してやってました。100329 農薬は基本的に使いたくは無かったので、ずっと網をかけておく「トンネル栽培」としました。写真は「竹肥料」の効能を実証しようとしてレタスで根張りを比較した写真。何となく「発酵竹パウダー」がよさそうですが、そもそも横で出来ているおばさんの野菜の方がはるかに立派なもんで話にならない。これはもっと修行を積んでから改めてやろうと思います。
 露地で野菜を作ると言うことは自然と対話することです。私がニンジンの種を蒔こうとすると、おばさんが「あと一週間待ってもうちょっと涼しくなってから蒔かなあかん!」と言います。実にその一週間が出来上がりに影響するのです。お百姓さんは皆、経験によって、自分なりにその地方の尺度を会得していきます。それが本来の農業なわけです。、なぜそうなのかを知りたいと思ってわざと時期をずらして作ってみたりもしましたが、まずうまく行かない。
 とにかくうまく行かない時は、同じ条件のものは全部ダメです。二割くらいよくできるということは決してない。ということは何か原因があるはず。水のやり方だったのか、気温の関係か?肥料のやり方か?それを検証しようとしても、次に作るときには気候が変わっている・・このへんが難しい!

<温暖化防止はナンセンスです!>
 まずは日照が大事なのですが、その次は気温です。野菜を作る人には当たり前の事実なのに、世の中では理解されてないことがある。
 野菜は10℃を下回ると、成長速度がどんどん下がります。なのでスーパーの野菜価格が上がります。5℃以下になるとほとんど成長はストップします。野菜にとってもっとも恐るべきは「寒冷化」です。「温暖化」ではありません。「冷害」はあっても「温害」はない。
 一方、カロリーベースで食料が自給できてる県は北海道・青森・岩手・秋田・山形・新潟だけですが、これらはすべて寒冷地です。温暖化すれば日本の食糧自給率は確実に上がります。地球で生存できる生物の総量は光合成量で決まるのだからこれはあたりまえ。地球上で最も生物が栄えたのはジュラ紀から白亜紀ですがこの時代は平均気温が今より10~15℃高かった。
 繰り返しますが本当に怖いのは寒冷化です

<ビニールハウスにて>
 今一番真剣にやってるのは、実験温室から始まった「マイクロトマト」栽培です。水ナス農家である従兄弟の家のビニールハウスですが、周辺の宅地化が進み、水はけが悪化して水ナスも作れなくなって、ほったらかされていたのを借りて栽培しています。雨が降ると水浸しになるのですが、その際も水面より高い位置で栽培できるように、コンテナ(樹脂製のカゴと思ってください)に用土を入れて栽培しています。*写真参照

Photo

ここでは栄養のある野菜を作るためにこれまで述べた話をすべて取り入れてます。即ち
①水は週末に1回やるだけ。その際液肥を最小限与えます。回りの雑草とも競争してもらって、育つ力を鍛えます。
②コンテナの中は企業秘密なのですが(というほどでもないが)竹肥料+生ゴミ堆肥を入れてあり、必要な元素をまかないます。
③種は上でも述べたように、自家採種して世代を受け継いでいます。

Photo_2
マイクロトマトは写真のように直径1cmくらいの小さなトマトですが、野菜くさい部分がないので、トマトの嫌いな人にもフルーツ感覚で食べれます。彩りもよいので、ケーキ屋さんやレストランに売り込んでトッピングにつかってもらおうかとも考えています。

<農業の将来は?>
 
で、話は①で述べた「農業による地域興し」に戻ります。「僕が地域農業を救う!」というのは、論外だとわかりましたが、とある志を同じくする人と密かに計画を温めています。
 農水省のデータによると、野菜で生計を立てようとした場合、一人当たり年間250~300万くらいの所得がやっとです。従兄弟の水ナス農家も奥さんとおばあさんが現役で働かないと労働をまかなえない。なおかつ今まで述べてきたように天候や害虫のリスクを常に負っていて不安定。農業を次世代に引き継ごうと思えば、所得を二倍くらいにしないとしんどい。
①生産の集約化
②ブランド化による付加価値の向上
③六次産業化による収益アップ

といった手法を合わせ技で使わないといけない。
そういう話になるとすぐ「企業を呼ぼう」という発想になってしまう。これはだめです。安倍首相は「企業の算入により農業生産高を二倍にする」と言っています。(難しいとは思うが)もし算入した企業の採算がとれて生産高が二倍になったとしても、所得が二倍にならなければ意味が無い。そのためには収益を企業に吸収されていてはだめで、地元が潤わなくては意味が無い。
 ということは地域の人達で企業を作るのが一番よいわけですね。実際千葉の「和郷園」という農業法人は地元の農家5戸で始めた企業が売り上げ50億円の企業に成長しています。
 でもうかうかしてたらおいしいとこばかりを企業にさらわれますよね。きっと!

 この間も岸和田市の農林水産課へ行ってそういう話をしてきたのですが、世の中理想というか理屈通りに行きません。てか「それは理想だ」というのは「不可能だ」という意味だと勘違いしている人が大勢います。
 ということで当分その方面では、じたばたいたしますが、よいお知らせがあればまた・・ということでとりあえず「農」についてはこれでひとまとめです。

 ●そこにはすべてがあります●
 
上のマイクロトマトもけし粒みたいな種から写真の様になっていく様子は「自然の恵み」としかいいようのない驚きです。光と水があれば種子のスイッチがはいって成長を始めます。バルコニーのプランターで十分です。スイッチを入れないと何も始まりません。是非一度やってみてください。

 わたしの実家は岸和田市の山間部にあります。今は町内に店が一軒もない、何も無い所です。ここで私の父親は死ぬまで(というか先祖代々みんな)この地で農業を営んできました。特に趣味も無く、町へ遊びに行ったりすることもなく、「何を楽しみで暮らしてるんやろ」と私は若い頃思ってました。
 この4年で、その考えは180度変化した。自然と畑があれば、そこには全てがあります。虫も鳥も(時にはイノシシも)やってきます。戦いがあれば助けもある。無限の組合せ、可能性がある。いつ雨が降るかチェックするし、気温も気になる。雑草引くだけでもきりがない。
 ここにいると生きていくためのサイクルがある。
 ー死にたいと思う暇はないー

 
 

 

                                      

                       

    

           

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2013年7月 2日 (火)

18回目<山本農園便り>その③

■H25年7月2日

18回目<山本農園便り>その③
     -「農」の本質を理解しよう!ー

<「有機農法」野菜は良いことばかりか?>
 
前回、効率性を重視した野菜の生産システムにより、大切なものを失ったという前振りをしておきました。それは何か答える前に、よく聞く「有機農法」のことを理解して頂きたいと思います。「有機農法」は「効率性を重視した生産システム」とは対極にあると思われますが、全面的に受け入れてよいのでしょうか?
 私が毎日仕事をしながら聞いてるFM局に「有機野菜」の信奉者で番組の中でもよく取り上げる女性DJがいます。彼女がある専門家に取材したとき、「有機野菜だからといって、栄養価が高くて安心だとは限らない」という話を聞いて「えっ!」と思ったという話をしていました。私は心の中で「そうやで!」と思いましたが、それ以上話題は進展せずに終わってしまい、彼女は相変わらず番組の中で有機野菜を勧めています。その先をつき詰める事が大事なのに!!とにかく「イメージ」や「空気」だけが優先して「本質」を見失ってるのはよくある話だ、ということはこの前も書きましたが・・・・でもちゃんと理解せずに他人に勧めるのは「よくないなー」と思う。
 農法に限っても「不耕起栽培」「永田農法」あとで今回のポイントとなる「自然栽培」(ちなみにちょっと違う「自然農法」というのもあるが)等等、いろんな名称の栽培方法があります。それぞれに「本質的な意図」があって、それを理解することが肝心です。

<「有機農法」の本質は?>
 これらのなかでも「有機農法」という言葉は語る人の目的によって多様な意味を持つ言葉なので、聞くほうは注意が必要です。
 ①狭義の有機農法
植物は光合成により糖を合成し、エネルギー源とします。糖は炭素、水素、酸素の化合物なので、<C-H-O>と略記しておきます。その他の栄養分は根から吸収します。3大栄養素は窒素、リン、カリウムですが、根からは化合物中のイオンとして水に溶けているものしか吸収できません。なので例えば<N-><P-><K->と表しておきます。3大栄養素の他にも、微量であっても必須の元素があと11あります。
 <C->は甘み成分となります。(代表的なのが糖<C-H-O>ですね)<N->は苦味です。有機肥料は生物由来のため、生物体内で合成されたアミノ酸などを多く含みます。これは例えば<N-C-H-O>と表現できます。従って有機肥料を多く使えば、光合成だけではなく、根からも<C->を吸収できるので、甘みのある野菜ができる。これが一番の本質です。
 
 
②広義の有機農法
なんやそれだけか?と思うかも知れませんが、確かに甘みのある野菜はおいしいと感じます。ただ一方、化学肥料を使わずに「有機肥料」を使うというのは「環境保全」にもつながります。あとで詳しく述べますが、化学肥料の多用による有害な硝酸塩成分の増加という問題があることが最近わかってきたし、化学物質による環境破壊も指摘されている。となると、少し話は異なるが、「農薬の規制」という話と一緒になって農水省の規格である「有機JAS」制度が出来ました。

すなわち
JASによる有機農法=有機肥料による栽培+化学農薬の規制です

本来は「有機肥料による栽培」と「無農薬栽培」は別物なので、JAS規格により話はややこしくなって、それまで有機農業をやってきた人達も戸惑ったようですが、ただ「有機農業」を世間に知らしめる効果はあったといわれています。
 もうひとつ、これは後で述べる
「自然栽培」を「有機肥料」を用いて行う農法を「有機農法」と呼ぶ人もいます。ややこしいですね。
 
 ③「有機農法」に対する疑問

では「有機農法」は安全なのか?先に出てきた
「永田農法」創始者である永田照喜治氏は次のような意見を持っています。
 「最近の有機農法ブームで、誤解されている方もいるようですが、中身の成分がはっきりとわかっていて計算できる科学的な農薬は、植物性や漢方など残留性分がはっきりとわからない農薬と比べて、使用法さえ誤らなければ安全なものなのです。(中略)有機肥料は、牛糞や鶏糞、豚の糞などの厩肥と、植物性の堆肥などを混ぜてつくられます。もし安全な厩肥を求めるのであれば、まずその餌の安全性を考える必要があります。」
  有機肥料は遺伝子組み換え農作物や農薬入りのえさを食べた家畜の糞が原料になってるかも知れないので品質が明確なものを使いたいと言う考え。消費者としてはどうしてよいか、わけがわからなくなって来ましたね。Photo_4

<「効率性」の替わりに失ったもの>
 
さらに混乱するかもしれませんが、前回から前振りしていた効率性を重視した野菜の生産システムにより、失った大切なもの」は何かというと「栄養」です。

この50年で、野菜の栄養は激減しています。

右上は科学技術庁の発表する食品成分表のデータです。 リンゴのビタミンAを除いてあとは驚くばかりに栄養価は下がっています。
 これが
、「F1種+化学肥料+農薬」のセットシステムによる農業の効率化の結果です。野菜に栄養が無いなんて詐欺に遭ったみたいですよね!私はこれを見て驚きました。ショックを受けました。でも「聞いた事がある」と言う人も結構居ました。でも消費者として「仕方がない」とあきらめてよいことなんだろうか?
 考えてみれば当たり前といえば当たり前の結果です。つまり、
野菜が自分の体内に栄養を蓄えるのは、食する人間のためではなく、厳しい環境の中で自分が生きて行くためです。肥料をどんどん与えて、害虫から守ってあげたら、自分で抵抗する必要はないので栄養を蓄える必要は無いわけ。

<「奇跡のリンゴ」の意味するもの>
 たぶん
「自然栽培」の言葉を定着させたのは有名な「奇跡のリンゴ」の著者である木村秋則さんだと思います。私は「奇跡」という言葉を安易に使う傾向には非常に抵抗感があるのですが、果樹を無農薬で作るなんて本当に奇跡です。私は父親が亡くなってから何年か、みかんの世話をしました。(そのうち片手間では無理なのであきらめた。)時間の都合をつけて、年一回は農薬散布をするようにしたのですが、それでは全く不足で、見事に不細工なみかんが出来ました。そんな時、多分私も含め、多くの人は「山の樹木は農薬なしで青々と育っているのに、なぜ人が栽培する果樹はそうならないのか?」と考えます。木村さんも考えました。これを実現するために涙ぐましい悪戦苦闘がなされます。傑作な話や涙を誘う話も沢山ありますので是非一度この本をお読み下さい!
 この本の基になったのはNHKの番組「プロジェクトX」ですが、最初に「うそやろ!」と思えるシーンから始まります。二年間保存されていた、木村さんのリンゴを割ると・・・腐ってない!
 これなぜか?最近明らかになって来ました。つまり
化学肥料を与えすぎると根から吸収する硝酸塩態の窒素を消化しきれずに葉や茎に蓄えてしまう(人間には有害です)→これに病原菌や害虫が誘引される。→従って農薬を多用する必要が生じる。という循環になるわけです。この循環に陥らないよう、山で樹木が青々と育つ仕組みを利用しながら作物を育てようとするのが「自然栽培」です。その結果木村さんのリンゴは「腐りません」徐々に「枯れて」行きます。

 
<あとはミネラル不足>
 
 もうひとつ「現代人はミネラルが不足している」というフレーズを聞いた事があると思います。野菜は普及している化成肥料(窒素、リン、カリウムの3大栄養素で構成される)を与えていれば育つことは育ちます。ただこれだけだとそれ以外の元素は不足するのは明白。自然のままの土壌にはこれらのミネラルがちゃんと含まれているのです。

 <栄養のある野菜を栽培しよう!>

 だいたい見当はついてきました。「栄養のある野菜」を栽培するには次のような条件が必要です。

①野菜は
自分で育とうとする力を発揮させて育てることにより栄養を蓄える。
②栄養の原料となる成分を補給する。これには自然由来の有機肥料が効果的。ただし由来の明確な素材を用いる。
③市販の種(F1種)は上記の栽培法向きではない。(多分何世代か連続して育てれば適応してくるとは思うが)
 固定種も探せば販売しています
④「農薬を絶対使わない」と意地を張る必要は無いと思っています。ができれば使いたくは無い。
 
 割りと簡単な結論になってしまいましたが、この条件が整えば野菜の栄養は向上する「はず」です。なぜ「はず」かというとこれを実践して栄養分析した研究成果がないので「はず」としか言いようがありません。(少なくとも私は見たことがない。)栽培方法はいろいろあると思いますが、木村さんの「自然栽培」ほど徹底的にやるのはなかなか難しいと思うのでここではこのような目的を持った栽培方法を
「自然栽培的農法」として話を進めます。
 私は上記の理由で、消費者としては
「産地」よりも「栄養成分」を表示してもらったほうが有効だと思っています。「自然栽培的農法」は「効率的農法」よりもおそらく栽培時間がかかり、収量も少なくなるはずなので従来の流通ルートでは、商売にならない。それに替わって「栄養成分」に優れていることが示されれば価値があがるはず。商売になるはずです。

 「はず」とか「だろう」とか言っててもしかたがないので、
あなたも工夫して「自然栽培的農法」を始めましょう!!
 方法は個人の事情に応じていろいろあるはず。
 
 次回は今まで述べてきたことを理解するまで私がどんな失敗をしてきたか、今はどういうやり方をしてるかを紹介させていただきます。

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2013年6月19日 (水)

17回目<山本農園便り>その②

■H25年6月19日

17回目<山本農園便り>その②

<まずは農薬の話から>
 前回のお話で水菜とチンゲンサイにやってきたのは「キスジノミハムシ」(小さPhoto な穴が空いてるのはこいつのせい*写真上)と「カブラハバチ」の幼虫(*写真下)でした。調べると、どちらも「アブラナ科」の野菜(水菜もチンゲンサイもそうです。)につく虫とのこと。虫がどこから情報を得るのかわかりませんが、とにかく作物の種類毎に付く虫が決まっていて、かならずやってくる。虫の見る掲示板があるのなら、「うちに来たら必ず殺す!」と書き込みたいのですが、そういうわけにはいかず、ウイルスと同じ様なもので「偏在」すると考えないと仕方が無い。こPhoto_3 の後も、温室栽培すると特有の「ハモグリバエ」の大群がやって来たし、ビニール ハウスで栽培すれば雨除けのあるところにやってくる、「コナジラミ」に今も悩まされている。
 で、プロの農家の人達は虫食いの作物はJAルートでは売れないので、農薬を使います。間違えば一夜にして努力が台無しになることがあるので農家にとっては死活問題です。ただ無制限に農薬を使用する事は出来ない仕組みにはなっています。大阪には
「エコ農産物制度」というのがあって、これを遵守する事が求められています。

<農薬の危険性って?>
 では農薬の
危険性ってどれくらい?だいたい毒物の規制は以下のような考え方に基づきます。まず研究データによりこれ以上摂取すると危険という値(閾値「シキイチ」)を設定し、それを100倍の安全率を見て規制値が決められます。×10は「毒物を複合して摂取する可能性に対する安全率」あとの×10は「作用の個人差に対する安全率」です。2008年に基準値を超える残留農薬による事故米騒ぎが有った時、太田農水大臣が「これくらいなら食べても大丈夫」と言ってえらくバッシングを受けました。(こういうことはなかなか納得してもらうのは難しいのですが)必ずしも誤りではなく、もう少しちゃんと理屈を説明すればよかったのにと思います。
 農薬の開発について言えば、かつての「毒で殺す」という考え方から替わって「虫の住みにくい環境をつくる」という考え方に基づき、ずいぶん苦労して研究開発されて来たようです。結果的にJAに言わせると農薬は「医薬品よりは安全」といえるところまで来たとのこと。ところが先ほどの「エコ農産物制度」のように、「農薬はなるべく使うな!」と行政が方向転換したため、現場は戸惑ったようです。
 ではお前はどうしてるのか?というと、売る必要はないので「葉ものは完全無農薬」、食べる部分にかけなくてよいニンジンなどは「なるべく使わない」ようにしています。まあ農薬を使うほうもあまり気持ちよくは無いのは確かで、農家の人も自家消費するものは農薬を使わないという人はたくさんいます。
 では消費者として「農薬については気にしなくてもいいのか?」というと、別の観点からはそうとは言えない事実が存在するのです。

<効率を高めるための生産システム>
 
農家は先に述べたような害虫に対するリスクや、天候不順に対するリスクを背負いながら、規格にあう作物を確実に、なるべく収量を増やして生産し続けないと食っていけません。(今の私程度の腕ではとても考えられません。)そのために生み出されたシステムが
 
 
[F1種+化学肥料+農薬]をセットとする生産システムなのです。

 まずF1種(自動車レースではなく種子の話です)の話。もし手元に野菜の種のパッケージを持ってる人は、裏側を見てください。必ず「F1」あるいは「一代雑種」の表示があります。これは異なる性質の種を人工的に掛け合わせた雑種で、一代限りで優れた性能を発揮するという性質を有する種という意味です。(例えば発芽率、均質性、収量等の性能です。)出来た作物から種をとって育てた二代目は性能を発揮できません。F1種は化学肥料と農薬を併用する事によって性能を最大限に発揮できるように品種改良されています(遺伝子操作ではありません。あくまで「交配」です。)
*F1種について詳しく知りたい方は、動画: DailyMotion 20120813 神保哲生 「F1種の問題」 -日本の農業の未来- をご覧下さい
 ちょっと考えると首をかしげたくもなるのですが、作物にとって農家は「生みの親」ではなくて、「育ての親」です。水ナス農家にしたところで種から作るのではなく、苗を買ってきて育てます。なぜかというと苗を育てる事に手間と畑のスペースを使うよりも、その間、別の作物を作ったほうが収入が増えるからです。種や苗といった、決定的な質については種苗メーカーにゆだねているというのが、今の農業生産システムです。中には代々の種を守り続けて門外不出にしている農家もあります。京野菜などの「伝統野菜」と呼ばれるものも、これとは根本的に異なる生産方法です。私も今作っているマイクロトマトはそもそも種や苗が一般に市販されていないので、種を自分で取って世代を重ねています。(初代の種はアンデスから空輸されてきました。)今は第4世代なのですが、年々質が変化しています。多分地元の気候に適応して行ってるのでしょう。野菜は環境が変わると形態さえも変わります。(ちなみにアンデスにはトマトの大木があると聞きます。)
 F1種自体にも問題があって、それについては上記の動画を見ていただきたいのですが、このシステムの何が問題かというと、
 
「効率を追求する事によって失った大切なもの」があるのです。私はこの事実を知って思わず「えええええーーつ!!」と叫びました。
 
 人に聞くと「それ聞いたことある」と言う人も多いので、私の認識不足だったのでしょうが、そういう現実があまり重要視されないのはなぜだろう?村上春樹がバルセロナで語っていたように、「効率性」に対しては「まあ仕方ないか」と思うしかないのでしょうか?
 すみませんがこれについては長い話になりますので次回とさせていただきます。

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2013年6月13日 (木)

16回目<山本農園便り>その①

■H25年6月13日

16回目<山本農園便り>その①

<竹肥料で地元農業を救おう!・・なんちゃって>

 年前、「訳」あって野菜作りを始めた。この「訳」は実に深い「訳」であって話し始めると、きりが無いのですが、なるべく簡単にまとめます。

 地元で農業振興と街づくりを同時に行うという開発計画(「岸和田市丘陵地区開発計画」と言います。)があり、私の実家の畑も含まれてる関係で、町の委員として、会議に出ています。(この会議の顛末を話し始めるときりがないのです。)私としては、この地区(岸和田市の山間部であり、市街化調整区域です)の将来のためには、農業を中心にストーリーを組み立てるのが一番よいと考えています。全国で「農」による意欲的な地域づくりがなされていますが、この地区では何を生かしてどういう構想が成り立つだろう・・と考えながら、農業についてははっきりいってシロウトなのでいろんな文献を漁っていた矢先。
 「現代農業」という雑誌に
「竹をパウダーにして発酵させた肥料はすごく効果がある」という特集が組まれていました。でこ、これや!!」と思ったわけ。

 この地区は私が子供の頃は
みかんが主力産業でした。あと竹の子もよく取れ、この二つで農家はなんとか食えていました。私の実家もそのひとつです。秋には家族総出でみかんの収穫をしました。それでも手が足りなくて、日曜日には親戚の人達にも手伝ってもらい、お昼にはみんなで弁当を食べました。これは私の人生の中で最も楽しかった思い出のひとつです。道ではみかんの容器を山盛りに積んだ軽トラックがひっきりなしに行き来していました。
 雲行きが怪しくなってきたのは1970年の「減反政策」からだと思います。みかんと竹の子が主力産業とはいえ、全国どこでもそうだと思いますが、ほとんどの農家は米も作っていました。というか、耕せるところは水田にして、残った斜面はみかん山か竹やぶというのが土地利用の方法でした。(みかんは斜面の方が水はけがよいので適している)ところが減反政策により、米をみかんに転作することが奨励され、みんなが従った結果、みかんの生産量が飛躍的に増えて値段が暴落しました。この頃、私の祖父は農業の先行きは暗いので、私には農業をつがせるな!と父に語ったそうです。多分とどめを刺したのは1988年の「アメリカ産オレンジの輸入自由化」だと思います。結果、今では近所でみかんで生計をたてている農家はありません。私の家の様に農業を継がなかった家のみかん畑は放棄地となり、繁殖力の強い竹やぶがどんどん広がりました。今ではうちの実家から山の方を見ると山の80%は竹やぶ(ほとんどは手入れされていないと思う)という状態です。


 というような背景がありまして、
<竹を切って肥料をつくる(ということは竹やぶの手入れにもなる)>→<「竹の肥料で作った有機野菜」ってイメージええやん。>→<出来た野菜を消費した残渣は竹を発酵させるときの促進剤に使える→これってエコロジカルな循環農業じゃん!>→<竹やぶを手入れする事でとれた竹の子を加工して売る=農業の六次産業化による収入アップ!>
 なんて美しい構想!これで地元は救われる!!これはやって見るしかない!!!
と使命感に燃えて、野菜作りを始めたわけです。

 まずは竹をパウダーに加工する機械を作る
Photo_2が第一関門。これは機械に強い従兄弟が解決してくれました。(右写真参照) 「現代農業」に載っていた手製の機械の写真を見ながら、近所の大工さんからもらった使い古しの電動のこぎりの刃を数枚抱合せ、ホームセンターで買ったモーターに組み込みました。これで写真の様に竹を削っていきます。

 

 こうして出来た竹パウダーを発酵させ湯に溶Photo_3かすと写真のように水に沈みます。(Ⓐは発酵させてない生の竹パウダーなので浮かんでいます)というわけで「竹肥料の完成」!。
 ここまでも実はいろいろ経緯があって、竹パウダーだけでは炭素成分が多すぎて、土に入れた時に腐朽菌が土中の窒素を消費し過ぎる「窒素飢餓」という現象を起こしてしまうので、尿素を混ぜて炭素/窒素の比率(C/N比と言って、プロのお百姓さんにとっては常識)を調整すると言う工夫をしています。

 最初に選んだのは、比較的シロウトにも作りやすくて、結果がすぐに出る葉っぱ物のチンゲンサイと水菜です。Ⓐの未発酵の竹パウダーを土の中で発酵させるという上級者レベルの作り方+発酵させた竹パウダーによる作り方+通常の化成肥料による作り方の3パターンを同じ畑で栽培して比べる事にしました。

 おばさんちの畑をひと畝(うね)借りて、種をまき、芽が時点で間引きした状態を比べてみると何となく竹パウダーを使ったほうが生育がよさそう!これは期待できる!!とワクワクしながら約2週間。果たして結果は??!!!!

→比べるまでも無く、3パターンともほぼ全滅・・・・・

Photo_4 無残にも虫に食われてしまった・・・・・
そうです。私は肥料のことしか頭になくて農薬をかけるなどという発想は全くなかったわけ。この時の様子:右上は水菜、右下はチンゲンサイです。水菜なんて筋しか残っていない!
「地元農業を救おう」なんて何と大それた話であるか!まともに野菜を作るって生易しい事ではなかったのです。
 このときから悪戦苦闘が始まりました。これはブログなんか書いてる場合ではない!(私信:koron-mamaさんへ:そういうわ Photo_6けで5年間続きを書けなかったのです。スミマセン)この時はやむを得ず農薬を撒いて虫を追い払いました。するとこの状態からある程度回復したのには驚きました。(生命力ってすごい!)

何より感じたのは

<農業って難しい!でも面白そう!>

そう。私は「農」に目覚めてしまったのでした。それからいろんな勉強をしていろんなことがわかってきました。この場でボツボツと紹介させていただきます。今までの一番の収穫は「これをやってると一生退屈せんでええなー」と思えることです。

 
 
  

                                  

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