2008年2月12日 (火)

六回目<母の家建替顛末記-その4->

■ H20年2月8日
六回目<母の家建替顛末記-その4->     

                              <筆責:山本>
● ● ● ● 母の家工事進行中 ● ● ● ● 
 過去三回報告した「母の家ができるまで」の続きです。前回は工事契約までのお話でした。現在のところ、そろそろ仕上げ工事が佳境に入ろうとしています。
 母としては、家を建てるのは初めてなので完成までのプロセスを楽しんでもらえたらと思っています。
<地鎮祭>
1  地鎮祭は、略式ですが行いました。地元の神社の神主さんにお願いしました。(写真①)私も通った小学校の校長先生もされていた方だそうです。ちなみに右側手前が私の母親、奥がそのお兄さんで今回壁に張る織物を(ただで!)提供していただく竹田織物の社長さんです。

<上棟式>
2  今回の家は鉄骨造なので「上棟」といっても鉄骨が建っているだけです。式は現場の職人さんたちと略式でとり行いました。
 写真②は住宅南側の部分です。柱が4本立っていますが、奥の2本は手前の2本に比べて細くなっているのがわかると思います。細い柱のあたりは、ほぼ全面アルミサッシュの開口になります。これこそが今回鉄骨造を採用した一番の理由です。木造の場合、筋違いの必要な壁が必要になるのでここまで開放的にしつらえるのは、普通のやり方では不可能です。
3_3  写真③は玄関前の土間になる部分です。前々回(四回目)に解体した家の土間の写真を載せていますが、そのイメージを現代風に再現しようとしています。




●土間空間のイメージ
Jpeg_4

<竹その後>
 居間・食堂は勾配天井にしていますが、以前も紹介しましたように、天井の仕上材として実家にある竹やぶの竹を割って使うことにしています。ただ、割る方法が見つかっていないというのが前回までのお話でした。
 工事が始まった段階では、大工さんが何とかしてくれるかなと思っていたのですが、無理とのこと。もうこれは失敗覚悟で自分で割るしかないかなあと考えていました。
 ある日のこと、少し時間が余ったので、古い竹細工屋さん(実は前からそこにあるのは知っていたが、営業しているかどうか怪しそうだったので問い合わせてなかった)に寄ってダメもとで聞いてみたところ、一度見に行ってあげるとのこと。
 現場に来て見てもらったところ、まず、虫がついて使えない竹が相当数あるとのこと。もうひとつは、乾燥する段階で割れている竹があり、たぶん竹一本につき、2~3本しか取れないだろうという指摘。割る作業をしても無駄になる可能性があります。竹細工屋さんから製品を買う手もあるのですがそうすればこれまでの手間が水の泡です。
4  無駄になるのは申し訳ないので私が自分でやってみようかなと申し上げたところ、素人では無理なのでそれなら割ってあげるということで、さっそく作業を始めました。竹細工屋さんが割った竹を私が節を削っていくという分担で、丸一日かけて割りました。(写真④)
 一緒に作業をしながら、竹は節をみれば何年目の竹かすぐわかるということ、竹の可能性を広げていろんな用途に使いたいが専門の研究者がいないということ、等々一日中竹のお話を伺いました。
5  竹細工屋さんの名は「籠辰商店(tel0724-22-0218)信達さん」とおっしゃいます。どうも有難うございました。信達さんは大工さんにも張り方の指導をしていただきました。試し張りをして目地の幅、寸法の調整の仕方を確認しました(写真⑤)

今のところ仕上作業の真っ最中です。次の課題は解体したとき取り置いた昔の家の部材がうまく使えるかです。非常に丁寧な仕事をする大工さんに来ていただいてるのでうまくいくと思います。

● 現場が始まれば同時進行で様子をお伝えしようと思っていたのですが、なかなか時間が取れずじまいでした。次回は竣工した姿をお伝えすることになると思います。・・・・・・・・

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2007年6月12日 (火)

五回目<母の家建替顛末記-その3->

■ H19年6月11日
  五回目<母の家建替顛末記-その3->            <筆責:山本>
● ● ● ● 敗北宣言 ● ● ● ● 
前回ご紹介しましたように、私の母の家の建て替え計画を進めるにあたって、現況の古民家の木材を使って家を建ててもらえる建主を募集しております。が、今の所問い合わせがなく、工事も先に延ばせない状況になってきましたので、やむなく通常の解体工事にかかろうと思っています。(涙)
現在工事契約もできて仮住まいの準備にかかろうとしています。(6月16日までなら間に合いますので希望の方は是非どうぞ!ホームページのTOPICS参照) 今回は母の家の仕上イメージについてお話します。

<竹と織物の話>Img0120076    
 母の家(私の実家です)は泉州、岸和田市の竹やぶとみかん山に囲まれた山間集落にあります。前回書きましたように今の実家の木材は近所の方たちに手伝ってもらって近くの山から切り出してきたそうです。
今はそんなことはできないのでせめて竹を切り出してきて新築する家に活かそうと考えました。
 また泉州地方は織物の盛んな地域でした。こんな田舎のほうにも織物工場があちこちにあって、私が子供の頃、朝はいつもImg0220076_1機織の音で目覚めていました。今では泉州全域で織物工場はほとんどなくなってしまいましたが、母の実家は技術革新によって今でも生き残っている数少ない織物工場のひとつです。(竹田織物といいます)工場の倉庫にはロール状に巻いたいろんな柄の織物のストックがいっぱいあって、これを内装に活かせたら面白いなと考えました。
    (竹田織物のホームページhttp://www.takeda-weaving.co.jp/)

<古びる建物 ―か弱い表現―>Img0320076
 「竹」は割ってすのこ状にし、居間の天井に使うことにしました。
「織物」はポイントになる壁に使っていろんな柄を建物のあちこちに散在させることにしました。どちらもいわば「はかない」材料です。そこに力強さはありません。時間がたてば古びていく材料です。「か弱い表現」がこの家のコンセプトです。「ハイスタイルな」「カッコいい」表現はしていません。余生をのんびり暮らす母の家のためにはこうしてできる柔らかい空間が住空間としてふさわしいのではと考えました。Img0420076
 ただ、この間今の実家の屋根裏へ登って驚いたのですが、屋根の垂木の上に「板材」は存在せず、すのこ状の竹を敷いてその上に土を載せて瓦を葺いていました。六十数年間竹が瓦の重量を支えてきたのです。「か弱そうに見えるが実はしなやか」な材料なのです。そんな人間に私はなりたい!!!?

<竹騒動 ―皆様ご協力有難うございました―>
 昨年の11月に以前から目をつけていた岸和田の竹材店に相談Img0520076_2 に行きました。実家の竹やぶの竹を切って建材にしてもらおうというもくろみです。さらに言えば竹を継続的に買ってもらえたら商売になるかなとも考えていました。
 ところがどっこい。今では九州のほうから安い竹が大量に入ってくるため自分のところで切り出したり加工したりはしていないとの事・・。
 それでは工務店に切ってもらいますのでどうしたら良いでしょうと聞いたところ、竹は三月から夏にかけては虫がつきやすく、秋までは成長し続け不安定なので、切るなら11月前後しかないとのこと。この時点で工務店はまだ未定でしたので頼れず、自分で切るしかない!ことがわかりました。
 さらに切ったら何らかの方法で熱して油を滲み出させることによって「油抜き」の作業をしないと虫がつきやすくなるとの事。帰ってインターネットで調べたり木に詳しい人を紹介してもらって相談したりしましたが、「油抜き」がうまくできるかはよくわからないままとにかく必要本数(100本程度)を切り出して節を抜き(そうしないと乾燥したとき割れるらしい)干すところまで昨年中に済ませました。
 干して乾燥させてる間に「油抜き」の試行をしました。まずたき火で直に熱する方法。竹一本に30分もかかってしまい、焦げてしまってうまくいかない。次に先ほど登場した竹田織物の工場内に蒸気を噴霧できる装置があると聞き、試してみましたが油が出てこない。Img0620076
 結局先ほどの木に詳しい人(ATC内エイジレス工房の松山さんです)が一番良いといっていた方法を選択しました。まずドラム缶3本半割を溶接して接合し、竹のはいる釜をつくります。これは他の現場でお世話になっていた工務店に製作依頼しました。この釜で湯を沸かし、油を煮出すのです。
 写真④⑤のような作業を経てやっと使える状態になりました。(写真⑥)
 切り出し・油抜きにはリブ都市開発の成田氏と清水正勝建築設計室の清水氏に協力を仰ぎました。
 あとは工事をする大工さんにまかせる予定なのですが実はまだ難問が・・
それは乾燥した竹を割る方法です。幅3CMくらいに割りたいのですが自分でなたを使って割るとどうもうまくいかない。だんだんそれてしまって幅が一定にならないのです。これも前から目をつけていたのですが、通勤途中に、割った竹を保管している倉庫があって、この間そこに人がいたので竹を割る方法を聞きました。ところがそこの竹も九州から仕入れた竹で、「これは機械で切るんや。この辺でその機械は見たことないで」との事。ああどうなることやら・・・

<織物の使い方>Img0720076
 織物についてはうまい方法が見つかりました。川島織物に「FAB-ACE」という製品があり、織物を接着剤ではなく、キャンパスのように張る工法です。素人でも張替えできるそうなので気分によって布地を変えれば面白いと思っています。これは(株)インテアール植田氏(tel075-950-8435)に聞きましたので興味があればお問い合わせください。クッションが入っているので触ると気持ちの良い壁ができると思います。(写真⑦)

● 文書が長くなってしまったので前回予告してましたスタッフの自己紹介は次回以降といたします。
● それにしても今回の建主募集においてはお客様をキャッチすることの難しさを痛感いたしました。
どこかに求めている方がおられるとは思うのですがそこにたどり着けません。何とか方法はないものか
● 現場が始まれば同時進行で様子をお伝えしようと思います。よろしくお願いします

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2007年5月 9日 (水)

母の家建替顛末記-その2- <筆責:山本>

●Rib設計では4月1日より<期待の新入社員>の田村君を迎えました!!
これで私山本一晃、週の半分くらい来てもらっている<スーパー美少女アルバイター>の横須賀さん
Rib都市開発の成田氏の4人が事務所内のメンバーとなり、新体   
制がスタートしました。
順次彼らにもこの場で自己紹介をしてもらおうと思っています。

●(泉州地方の方へ)解体予定民家の木材を使って家を新築したい方を急募しています!!!)

前回もご紹介しましたように、現在私の母の家の建て替え設計を進めています。
設計図もほぼ出来上がり、見積が始まっています。予算が合えば着工の運びとなり、今の家の解体が迫ってきました。設計を始めた当初から、解体したらどこかで再生できないかと考え、いろんなところに話を持ちかけていましたが、今のところ未定です。何とかしたいと考えています。
今回は緊急に!!このお話をさせていただきます。

<今の母の家について> 20070509_img01_1
母の家(私の生家です)は岸和田市上白原町という山間集落にあります。
周辺はみかん山と竹やぶが多く見られる、農業が主産業の地域です。
(とはいえ、うちをはじめとして後継者不足で農業の将来が危惧さ
れる状況ですがこのことはあらためて話題にしたいと思います)
泉州地方ではよく見かけるのですが、この集落においても伝統的20070509_img02_1
な民家の形式は「錣(しころ)葺き」という屋根の葺き方をしています。
入母屋屋根に似ているのですが、なだらかな傾斜の寄棟屋根の上に急な傾斜の切妻屋根を乗せたような形をしています。(写真①参照)  この工法には長くて大きな丸太の桁梁が用いられます。(写真②参照)
祖母から聞いたことがあるのですが近くの山から何人もの人に手伝ってもらって木を切り出してきたのだそうです。
そういえば私が子供の頃は上棟の日には村中の人たちが手伝いに出かけ、男性は建前の作業をし、女性は炊き出しをしていました。今となっては古き良き時代の話です。

<既存木材の活用方法>20070509_img03_1
 前回もお話したように、今の家を残しながら建て替えをするのは
困難でした。今の家の木材を生かそうと思えば、別の方法として、新しい家の化粧材として活用する方法もあります。もちろんそれもするのですが、それでは使い切れませんし、9寸角ものケヤキ材の大黒柱(写真③参照)や、丸太を切り出した一本十数メートルに及ぶ牛梁(写真④参照)の力強さを活かすには、構造材をそのままどこかで組み直して新しい家として再生するのが一番だろうと考えました。そうしたほうが耐震性能を持たせることもしやすくなります。(ホームページ内の「TOPICS」に詳しい説明をしています。) 
 そのため昨年より、古民家を専門に扱っている専門業者に相談したり、古民家をそのまま店舗として使っているうどん屋さんに問い合わせたり、誰彼となく話を持ちかけたりし20070509_img04_1てきましたが、今のところヒットしていません。

<残す価値>
いろんな人に相談する過程でわかってきたこともあります。実は大黒柱がケヤキ材だというのも専門の方から教わりました。
その専門業者の方に最初相談したときに「その家はできて何年になりますか?」と聞かれました。六十数年だと答えると「それなら古民家といえるかどうかぎりぎりのところです」とおっしゃいました。
大断面の木材はそのくらいの期間をかけて乾燥が終わり、その後物性的に安定する時期を迎えるのだそうです。これからが働き盛りということ。
私の感想は「ムムム・・それはもったいない・・・・・・」

<木造住宅の寿命>20070509_img05
以前「木造でできた山荘を点検してあと何年もつか答えを出して欲しい。」という仕事をしたことがあります。その際木造住宅の寿命について調べたのですが、ある実験によれば防腐処理された杉材で土に接しない状態であれば70年程度、直接風雨にさらさなければその倍程度もつと予想されるという記事がありました。100年育った木は100年もち、200年育った木は200年もつという人もいます。要はメンテナンス次第です。実際この家でもシロアリの害を受けている材もあります。 20070509_img06_1
また機能的に今の生活に適合しない部分もあります。それを今回考えているように、構造材を移設し、補修・補強をすればあと100年はもたせられるだろうと考えられます。(そのあたりについてもホームページ内の「TOPICS」に詳しい説明をしています。) 

<お客さんを探しています>
そこで自前でお客さんを見つける努力をすることにしました。まずインターネットで呼びかけています。(この話もその一環です)地元でちらしを配ることも検討しています。広告費に金がかかればどうしてもお客さんにある程度負担がかかってしまうので早く見つかることを期待しています。
本当は解体前にお客さんが決まっていて設計もできていれば、解体と同時に新しい敷地で組み立てができて一番合理的と思われるのですが、このプロジェクトの難しいのは、解体してみないとメドがつかない点が多いという点です。例えば、解体しなければどの程度いたんだ材があるのかわかりませんし、(ということはコストの把握ができないと言うことです)そもそも裸にしないと正確な測量がしづらく、ということは正確な図面が描けないということもあります。
その結果、一時どこかに仮置する必要がでてきます。そのための場所や、運搬費についても考えないといけません。
コストについては「再生する木材の材料費はタダ」とするのがわかりやすいと考えています。設計や施工については通常より手間がかかり、その分は高くつきますから、お客さんにとっては「通常と同じ建築費(設計料も含みますが)で骨太の木材がつかえる」というところにもって行きたいと考えています。

● 今回は真剣勝負のお話なので「遊びのない」文章になってしまいました。さてどういう結末になることやら。新築の家のほうの見積金額についても気になり、「夜も寝られません」と言いたいところですが、ここのところ小説を1ページくらい読めば目が閉じてしまい、気づけば朝という毎日です。

● メンバーと芸能関係の話をいたしまして最近やっと「長澤まさみ」さんをTVで区別できるようになったのですが「沢尻エリカ」さんと「上野樹里」さんを認識できません。この原稿を書いたらネットで画像を検索してみようーっと!

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2007年1月26日 (金)

母の家建替顛末記-その1-

● Rib設計では相変わらず<スタッフを募集中>です。
応募が来ないのはお正月前後という時期が悪いのか?
設計業界が人材不足なのか?はたまたWebサイドで私の顔写真を公開したのが悪かったのか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
●年末から母の家の設計を本格的に始めました。まあ「自邸のようなもの」です。
時間の制約のあまりない仕事なのでじっくりと取り組んでいます。
今回から何回かに分けてこの家の設計で考えたこと、体験したことを記事にしたいと思います。

<南海地震に備えて>   
 母の家(私の生家です)は大阪府南部のK市の山間部にあります。Yhouse01_1
(写真①参照)付近は今も緑が多く残り、「ここも大阪なの?」というような感じの場所です。子供の頃はこのあたりの野山を駆け回っていました。今でも時間がゆったりと流れ、私にとっては別天地のような所です。
 今は母が一人で気ままに住んでいるのですが、もう少し家をコン
パクトにして余った空地で畑を作りたいという希望があり、手を入
れることにしました。
この建物をそのまま保存しながら再生したいという気持ちもあったのですが母の希望とは相容れないので思い切って建替えることにしました。
 手を入れようとした理由としては「南海地震」に備えるというのも重要なポイントでした。この付近には断層があり、阪神大震災でも比較的揺れが大きかった地域です。予想される南海地震の規模を考えると、現状のままでは不安がぬぐえません。

<地震がきたらどうする?>
 東南海・南海地震は過去周期的に発生している地震ですので「そのうち起こる」と考えてよい地震です。今後30年以内に50~60%の確率で起こると言われています。根拠の希薄なことを言うのはあまり適切ではないのですが、史上最大規模の地震になる可能性があり、阪神大震災の数十倍の規模で、10分ぐらい揺れが続くという人もいます。(阪神大震災は1分半ぐらいの揺れでした)今の基準による建物で十分安全とは必ずしも言えません。私は南海地震が起こったらどうしたらよいか施主に聞かれた場合、以下のように答えたことがあります。

① 一分以上揺れが続くようなら南海地震だと思ってください。
② 建物の建っていない広場のような場所に逃げられる状況ならならそれがベストです。
③ 家の中でいる場合、玄関あたりや、水廻りといった、壁の多い部分に避難するのが構造上安全です。
できたら平屋部分が望ましい。
(その施主は以前小さな地震があった時、吹抜けのある居間部分に集まっていたそうですが、限界を超えたら危険な場所なのでそれはやめてくれと答えました。)
どこが強くてどこが弱いかは建物によって違いますので設計者にどこに避難したらよいか聞いてみてください。答えがもらえるはずです。

<役所の指導に対する疑問>
 以上のように予想される状況から考えると、一人でも多くの人命を救うために今行政が取り組まないといけないのは、老朽化した家屋を地震が起こるまでにひとつでも多く建替えるなり、補強をするなりすることです。先ほど「今の基準による建物で十分安全とは必ずしも言えません」と書きましたが、それでもおそらく今の基準をまもれば家がぺしゃんこになって人が死ぬということはあまりないと思います。
 ところで母の家について次のような指導にぶつかりました。私の家はみかん農家でしたので敷地内にみかんを保管する倉庫が残っています。(写真②参照 後ろの2F建の建物 昭和45年頃竣工で鉄骨造です)建替えようと考えている母屋は建築基準法ができる以前の昭和15年頃の建物です。耐震性のことを考えると倉庫のほうが安全性の高いのは明らかです。そういう意味でも倉庫に手を加える予定はまったくありませんでした。

 ただ写真を見ていただけたらわかりますが、倉庫の前の道は狭くてYhouse02_1
「4M未満の道路に面して建物を建てる場合、道を4Mまで広げた位置まで建物を下げて建てること」という建築基準法の条文に違反しています。(かかっているのは10センチぐらいなのですが) 
 母屋は奥にあって倉庫とは離れた建物なのですが、母屋を建替える際に倉庫を是正しなければ申請は認められないとの指導を受けました。
要するに倉庫を引っ込めなさいという事ですがそう簡単なことではありません。
 写真②で手前にある木造の平屋も倉庫でこれは取り壊す予定なのですが、おかしいのは、この平屋の倉庫を残したとしても、役所は何も
言わないのです。!!!変ですよね?なぜかわかりますか?

[役所の考え方]
■建築基準法(昭和25年制定)ができる以前の建物が法に適合しているかは問わない
→これを「既存不適格」の建物と言います
■法制定後に建てられた建物で法に適合していないものは同一敷地の建物の申請をする場合に是正する事

    →同一敷地内の「違反建築物」は是正しなさいと言う事です

 上記の文章をひとつずつ読めばおかしいとは思いませんが現場ではこのような変なことが生じるのです。

それに対して私は以下のように申し入れをしました
「倉庫は違法であることは認識したが、今回はより危険性の高い母屋の建替を優先したい。後日倉庫に手を入れる場合は必ず違法部分を是正するのでまず母屋部分の建替だけを認めてほしい」
しかし認められません。
 この地域にはこのように4Mに満たない道路が多くあり、しかも道路に面して倉庫があって、奥に母屋があるというのはよくあるパターンです。母屋を建替えようとすれば皆同じことになります。回避しようとすればどうなるかというと、①建替をあきらめる→お年寄りが「もう年だし死ぬまでがまんするか」というパターン(結果として若い人が便利な町へ流出することを促すでしょう)②違法に建替をおこなう→善人に違法行為を促す結果となります。 ①を選んだ人は南海地震が起こった場合、生命の危険にさらされることになります。(勇気を持って?)法律を無視したほうの人が助かるのです。これは不条理です。将来近所で私と同じ状況に直面する人たちのためにも納得はできませんでした。
 私は役所の人に「そちらの言うことが法律的に正しいのはわかるが、その結果どういうことになるか考えてほしい。そういった指導によって老朽化した建物の建替が進まずに、地震で犠牲になる人が必ず存在するだろう。そういう人たちにそちらは責任を感じないか?」という旨を申し上げました。無駄でしたが・・・・

<法律は何のためにあるんや!>
  一回目にも書きましたが「市民が常識通りに生きていてひっかかるような法はルール自体が間違っている」と思います。法は市民の生活に合わせて存在すべきものなのに法をつかさどる人たちの中には法に書いてあること以外は違法だと考える人がいます。従って自分の卵子から生まれた子が代理母を介して世の中に出て来てもそれを親子と法が認めないといった「非常識な」解釈が生まれます。

<で、地震の話に戻りますが>
  役所が法に書いてある事しか認めないならば、今すぐ「東南海・南海地震特別措置法」を作り、老朽した建物の建替を促進する必要があると思います。乱暴なことを言えば、地震で多くの建物が損壊するでしょうから、そのあとに基準法に適合させるほうがずっと簡単です。

● 申請関係の話になると愚痴っぽくなるのは職業病のようなものです。ためしにお知り合いで建築設計の仕事をしている方に「建築の申請って難儀なんですってね!」と聞いてみてください。30分は愚痴を聞かされると思います。

●それでもなんらかの方法で建築を成り立たせなくてはならないのが私たちの仕事です。
現在方策を検討中です。

●お口直しに最近心に残った文章を紹介します。なおこのシリーズでは「竹と織物の話」「古民家再生の話」等の話題を用意しています。よろしくお願いします。・・・・・・・・・・・・・・・・・

  ・・・・・「女になるのも大変よね。」ある夕方、唐突にえり子さんが言った。
  (中略、ちなみにえり子さんは、いわゆる「おかま」です)
  「つらいこともたくさんあったわ。本当にひとり立ちしたい人は、なにかを育てるといいのよね。子供とかさ、鉢植えとかね。そうすると、自分の限界がわかるのよ。そこからがはじまりなのよ。」
  (中略)
  いやなことはくさるほどあり、道は目をそむけたいくらい険しい・・・・と思う日のなんと多いことでしょう。(中略)それでも黄昏の西日に包まれて、この人は細い手で草木に水をやっている。・・・・・・

-吉本ばなな 「キッチン」より-

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2006年9月10日 (日)

H18 Rib建築設計事務所のWEBサイトOPEN!

一回目<筆責:山本>
● 私は血液型がO型で八方美人なので設計依頼者の性格に合わせるのは得意ですが、やはり気が合う方のほうが仕事はやり易い。そこでまず手始めに私の自己紹介代わりに好きなもの嫌いなものについて書きます。気が合いそうだと思った方は仕事をご依頼ください。

<渋滞>
とにかくせっかちですので道路渋滞は大嫌い。のろのろ運転しているくらいなら時間がかかってもすいすい走れるまわり道を選びます。いつもねずみのように(鼠年生まれです)事務所の中をちょろちょろ動き回りながらせかせかと仕事をしています。

<人情>
心温まるお話が好きです。浅田次郎著「椿山課長の七日間」をぜひお読みください。

<(必要のない)こだわり>
「こだわり」がないというのは設計士としては疑問符がつくかもしれませんが、世の中には格好をつけるだけのための「こだわり」が多く存在します。そういうこだわりは極力排除しようと努めています。反面少し障害があるとあまりこだわらずにすぐに別の解決法を見つけようとしてしまう傾向もありますが。(・・反省)とにかく表書きに頼ろうとするものはあまり好きではありません。同様のものに<ブランド><肩書きビジネス><世界遺産>等があります。

<おもちゃ箱>
私は「威厳」とか「渋さ」には縁遠い人間であります。どちらかといえばそれより<楽しさ><多様性>といった言葉が好きです。設計する建築もどちらかといえばそういう傾向があります。おもちゃ箱をひっくりかえす時のようなうきうきした気持ちになる空間ができればと思います。

<わけのわからないもの>
「建築学科」を選んだのは「建築」がとてもわかりやすいからだと思います。わけがわからないのであまり近寄りたくないもの・・・<エレクトロニクス(特にパソコン)><政治家><女性の心>

<仁義>
最近「コンプライアンス」とよく言われますが法令を遵守せよというなら「ちゃんと守れる法律にせんかい!」と強く言いたいと思います。市民が常識通りに生きていてひっかかるような法律はルール自体が間違っていますよね。たとえば(実際あった話ですが)「交通量の少ない田舎の道路(時速40KM制限)のカーブを曲がったところで行っているネズミ捕り」 警察は市民のために働いているのか法律のために働いているのかどっちやねん!と言いたくなります。(実はあまり腹が立ったので警察に行ってそう言いました)
建築の仕事で役所に申請する際にも同じようなことはいっぱいあります。
 そこで私はつじつまの合わない「ルール」よりも<仁義>を重んじたいとと思っています。「人に迷惑をかけることをしない」「恩を受けた人にはお返しをしたい」といった道理で行動するほうがよほど人間的に生きていけると思っています。(でも気づかないところで独断に陥っていたり人に迷惑をかけていたりするのですが・・)
 腹が立つといえば「少数の悪人のために善良な多くの人たちが邪魔くさい思いをするルール」に腹が立ちます。たとえば<個人情報保護法><建築士法の改正案>等々・・他にもいろいろ腹のたつことが思い当たって止まらなくなりそうですのでこのくらいにしておきます。

Rib設計はいろんな意味で転機を迎えようとしています。方向性が定まればまたお知らせしますので今後ともよろしくお願いします。

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